目次
Oracleデータベース・ソフトウェアをインストールする方法
Oracleソフトウェアをインストールする際は、OUI(Oracle Universal Installer)を使ってインストールを行なう。インストールするユーザーが管理者権限を持っていない事が前提となる。そもそもOUIとは何のことだろうか、詳しく見ていこう。
OUI(Oracle Universal Installer)とは?
OUIを使用するとOracleのインストール及び、削除ができる。OUIはソフトウェアのインストールや削除だけでなく、以下の五つの作業を行う事ができる。
OUIでできる事 |
・新しいOracleソフトウェアのインストール |
・インストールされているORACLEソフトウェアの表示
|
・使用しないOracleソフトウェアの削除 |
・インストールプロセス中でのオンラインヘルプの参照
|
・インストール前の前提条件の確認 |
Oracleソフトウェアをインストールする要件とは?
ORACLEソフトウェアをインストールするにはインストール条件を満たす必要がある。物理メモリーに空きがあるかスワップ領域は空いてるか、対象のOSを使用しているかなど細かく指定があるので確認してからインストールしよう。ORACLEソフトウェアはmac OSでは使用する事ができない。
Oracleソフトウェアをインストールする要件
メモリー | 物理メモリーの最小要件は1GB(windows7, windows8, windows8.1では2GB以上) |
スワップ領域 | 最小要件は1.5GB。スワップ領域のサイズはRAMの大きさによって異なる。 |
システム | OSのバージョンやパッチが適切か、システムパラメータやカーネルパラメータが適切に設定されているか、 適切なファイルシステム形式が使用されているかなどを確認。 |
ディスク領域 | 一時領域:1GB以上 Oracleソフトウェア用+データベース用 |
インストールする為のユーザーとOSグループの作成
Oracleソフトウェアはインストールする為のユーザとOSグループを作成する必要がある。ソフトウェアのインストールを実行するOSユーザーをこれらのグループメンバーにしておく。
- ソフトウェアの所有者であるOracleインベントリグループ
- データベースの管理者グループ(OSDBA)
- 制限されたデータベースの管理者グループ(OSOPER)
- データベースのバックアップリカバリの管理グループ(backupdba)
- Oracle Data Guard管理グループ(dgdba)
- 暗号化キー管理の管理グループ(kmdba)
Oracleインベントリグループが存在していない場合はOracleイベントリグループを作成する必要があります。以下のコマンドでORACLEインベントリディレクトリが存在するかどうか確認することができる。
1 |
$ more /etc/oraInst.loc; |
インベントリ・ディレクトリとは、インストールしたOracle製品の情報などを保持する為のディレクトリです。全てのOracle製品のインストールで同じディレクトリを使用する。このディレクトリは、既存のソフトウェアにパッチを適用したり、既存のインストールをアップグレードする。
Oracleソフトウェアに関連する主な環境変数
Linux、Unix環境の場合、Oracleデータベースサーバーの操作に必要な環境変数は全て、OUIが自動的に設定を行う。事前に設定しておくと、設定した値がOUIで採用される。
ORACLE_BASE | Oracleディレクトリ構造のトップのディレクトリを指定する。 この設定値がOFA(Optimal Flexible Architecture)の Oracleディレクトリ構造のトップの場所になる。 例)/u01/app/oracle |
ORACLE_HOME | ORACLEソフトウェアを格納するディレクトリを指定する。 例)$ORACLE_BASE/PRODUCT/12.1.0/dbhome_1 |
ORACLE_SID | システム識別子(インスタンス名)を指定する(8文字以下の英数字)。 ORACLE_SIDによって同じコンピュータ上の他のインスタンスと区別できる。 例)orcl |
LD_LIBERARY_PATH | ライブラリファイルのあるディレクトリパスを指定する。 実行時に、共有ライブラリを検索する為に使用される。 例) /usr/lib:$ORACLE_HOME/lib |
OFA(Optimal Flexible Architecture)とは、Oracleが推奨するディレクトリ構成やファイルネーミングのガイドラインです。OFAに沿って設定すると、所有するユーザーやバージョンの異なる複数のデータベースが共存できるように、ソフトウェアとデータベースを適切に構成することができる。
Oracleソフトウェアのインストール
OUIを使用する事によってプラットフォームが異なる場合でもほぼ同じ手順でOracleソフトウェアをインストールする事ができる。
- Oracleソフトウェアのインストール及びデータベースの作成・管理を実行できるOracle管理用グループのメンバーでOSにログインする。
- Oracleソフトウェアの配布用メディアをメディアドライブに挿入する。もしくは、Oracleソフトウェアをダウンロードする場合は、以下のサイトから必要ソフトウェアのダウンロードを行う。▼OTN(Oracle Technology Network)https://www.oracle.com/technetwork/jp/database/enterprise-edition/downloads/index.html?ssSourceSlteld=otncn
- Linux上のターミナルでディスクのメディアパスを指定して「runinstaller」を実行してOUI(Oracle Universal Installer)を起動する。
- セキュリティアップデートの構成ページが表示されます。セキュリティ更新の受け取り方を選択する。ここではセキュリティ更新を受け取らない設定にして表示される確認ダイアログボックスで「はい」を選択する。
- 「Software Updateのダウンロード」ページが表示される。必要であればオプションを選択し、「次へ」ボタンクリックする。(ダウンロードにMy Oracle Supportの資格証明、事前ダウンロード済みのソフトウェア)
- 「インストール・オプションの選択」ページが表示される。以下項目から該当する項目を選択して「次へ」を選択する。
- データベースの作成及び構成データベース・ソフトウェアのみインストール既存のデータベースをアップグレード
- 「Gridインストール・オプション」のページが表示される。以下該当する項目を選択して「次へ」を選択する。
メモ
- 単一インスタンス・データベースのインストール
- Oracle Real Application Clustersデータベースのインストール
- Oracle RAC One Nodeデータベース・インストール
- 「製品言語の選択」ページが表示される。日本人であれば日本語と英語で選択すると良いだろう。
- 「データベース・エディションの選択」ページが表示される。以下の項目から該当するものを選択して「次へ」をクリックする。
メモ
- EnterPrise Edition
- Standard Edition
- Standard Edition One
- 「インストール場所の指定」ページが表示される。「Oracleベース」と「ソフトウェア」の場所が設定されているとを確認して「次へ」を選択。(OUIの起動前に環境変数ORACLE_BASE,環境変数ORACLE_HOMEを設定しておくと、その値が「Oracleベース」「ソフトウェアの場所」として採用される。ソフトウェアの場所はOracleベースのサブディレクトリになる)
- 「インベントリの作成」ページが表示される。「イベントディレクトリ・ディレクトリ」と「oraInventoryグループ名」が設定されていることを確認して、「次へ」クリックする。インベント・ディレクトリとは、インストールしたOracle製品の情報などを保持する為のディレクトリである。全てのOracle製品のインストールで同じディレクトリを使用する。このディレクトリは、既存のソフトウェアにパッチを適用したり、既存のインストールをアップグレードしたり、Oracleソフトウェアを削除したりする時にOUIが使用する。
- 「権限のあるオペレーティングシステムグループページ」が表示される。適切なグループが設定されていることを確認して「次へ」をクリックする。
- 「前提条件チェックの実行」ページが表示され、前提条件のチェックが実行される。
- チェックが完了すると「サマリー」ページが表示される。「インストール」ボタンをクリックする。
- 製品のインストールの進捗状況のページが表示される。
- 「構成スクリプトの実行」が表示される。この画面が表示されたら、システム管理者であるrootユーザとして別のターミナルを開きインベントリポインタファイル(/etc/oraInst.loc)を作成する[orainstRoot/sh]とoratabファイル(/etc/oratab)の作成と、Oracle用の環境変数を変更するファイル[root.sh]の二つのスクリプトを実行する。スクリプトの実行後、OUIに戻って「OK」ボタンをクリックする。
- インストールが正常に完了すると「終了」ページが表示される。「閉じる」ボタンをクリックして完了。
DBCAを使用してORACLEデータベースを作成する
インストール中にデータベースを作成しない場合は、ソフトウェアのインストール後にDBCA(Oracle Database Configuration Assistant)を使用して、データベースを作成する。
DBCAを使用してテンプレート管理してみよう。DBCAを使用すると以下のような事ができる。
Oracleデータベースの作成
1 OracleユーザーでOSにログインする
2 ターミナルを開きoraenvスクリプトを実行し、ORACLE_SID、ORACLE_HOMEの設定を行なう。
はてな
- oraenvスクリプト・・・環境変数ORACLE_HOME、ORACLE_SIDを設定する際に使用する。
- ORACLE_HOME・・・Oracleソフトウェアを格納するディレクトリを指定する環境変数
- ORACLE_SID・・・システム識別子(インスタンス名)を指定する環境変数
3 DBCAの起動を行なう。プロンプトに「dbca」と入力しENTERキーを押す。
4 DBCAが起動して「データベース操作」ページが表示される。「データベースの作成」を選択して、「次へ」をクリックする。
5 作成モードのページが表示される。ここではDBCAによる各設定項目を説明していくので、「拡張モード」を選択し、「次へ」ボタンをクリックする。
6 「データベース・テンプレート」ページが表示される。仕様に合わせたデータベーステンプレートを選択し「次へ」をクリックする。
7 「データベース識別情報」ページが表示される。「グローバルデータベース名」と「SID」を入力して次へをクリックする。
はてな
- グローバル・データベース名・・・データベースをネットワーク上で識別するのに使う。次のようにデータベース名とドメイン名で構成される。database_name.domain_name[データベース名.ドメイン名]
8 「管理オプション」ページが表示されます。以下の二つからOracleデータベースの管理するツールを選択する。
メモ
- Enterprise Manager Database Expressの構成
- Enterprise Manager Cloud Controlへの登録
一つのデータベースを管理する場合はEnterprise Manager Database Expressを選択し「次へ」をクリックする。
9 「データベース資格証明」ページが表示される。ここでは新規データベースを作の管理者アカウントであるSYS,Systemのパスワードを入力して次へをクリックする。
10 「ネットワーク構成」ページが表示される。現在のホームのリスナーが表示される。新規リスナーを作成する事も可能である。ここでは何も入力せずに「次へ」ボタンをクリックする。
11 「記憶域の場所」が表示される。データベースで使用する記憶域のタイプと、データベース・ファイル位置、リカバリの種類を設定する。
▼記憶域タイプの種類
記憶域のタイプ | 説明 |
ファイルシステム | 通常のOSのファイルシステムを使用する |
自動ストレージ管理(ASM) | ASMディスクグループにデータファイルを配置する。 別途専用のインスタンスが必要。 |
▼データベース・ファイル位置
データベース・ファイル位置 | 説明 |
テンプレートのデータベース ファイル位置を使用 |
テンプレートに設定されているディレクトリ情報を使用する。 |
全てのデータベース・ファイル に対して共通の位置を使用 |
新しいディレクトリを指定して、全ての データベース・ファイルをその場所に作成する。 後で変更する事が可能。 |
Oracle Managed Filesの使用(オプション) | OSファイルを作成するデフォルトの場所を指定すると、 Oracleデータベースを構成するOSファイルを Oracleデータベースが直接管理する。 |
はてな
高速リカバリ領域・・・リカバリ関連エリアファイルエリアにおいてバックアップファイルなどの障害回復に必要なファイルを格納する領域。
12「データベース・オプション」ページが表示される。「サンプル・スキーマ」タブでは「サンプルスキーマ」の作成の有無を指定できる。サンプルスキーマが必要な場合はチェックボックスにチェックを入れて「次へ」ボタンをクリックする。
はてな
- スキーマ・・・一人のユーザーが所有するオブジェクトの集まりである。
- カスタム・スクリプト・・・データベース作成後に実行するスクリプトで保存された一連のコマンドを指定する事ができる。
13 「初期化パラメータ」ページが表示される。この画面では、各種設定値である初期化パラメータのデフォルト値を変更できる。変更する場合は値を入力して次へをクリック。変更しない場合は値を入力せず「次へ」をクリック。
14 「作成オプション」ページが表示される。このページでは、以下の三つのオプションを選択する事ができる・データベースを作成する事が目的なのでチェックボックスにチェックを入れて「次へ」をクリックする。
15 「サマリー」ページが表示される。「終了」ボタンをクリックすると、データベースを作成が開始される。
16 「進行状況」ページが表示される。データベースの作成が完了すると、完了したことを表す画面が表示される。内容を確認の上「終了」ボタンをクリックする。
17 進行状況ページに戻り、「閉じる」ボタンをクリックする。
DBCAを使用したテンプレートの管理
DBCAテンプレート(Database Configuration Assistant template)とは、データベースの作成に必要なXMLファイルの事である。(XMLファイルとはソフトウェア間でデータを交換する為の形式として利用されるファイルである。)
作成したテンプレートは以下の場所に保存される。
パス
1 |
$ORACLE_HOME/assistants/dbca/templates |
XMLファイルには次の情報が含まれている。
メモ
- データベースオプション
- 初期化パラメータ
- 記憶域属性(データファイル、表領域、制御ファイル及びREDOログの属性)
DBCAで使用できるテンプレートのタイプ
DBCAでは大きく分けて2タイプのテンプレートを使用できる。
ポイント
- シードテンプレート・・・既存のデータベース(シードデータベース)の構造+物理ファイルが含まれているテンプレート。物理ファイルは作成済みなので、シードデータファイルをコピーするだけでデータベースを作成できる(ファイルコピーの方が新しいファイルを作成するより短時間で済む)。(例:事前に用意されている汎用またはトランザクション処理、データウェアハウス)などがある。
- 非シードテンプレート・・・作成するデータベースの特性が含まれているテンプレート。新しいデータベース を作成する際に使用する。データファイルが含まれていないのでデータファイルオンラインREDOログファイルの作成方法を柔軟に指定できる。(例:カスタム・データベース)
テンプレートを使用する事によって得られるメリット
・同じ設定を何度も行う必要がなくなる為、データベース をより早く作成する事ができる。
- シードテンプレートを使用すれば、既存のデータベースのクローン(複製)を迅速に作る事ができる
- テンプレートの設定の中のデータオプションを簡単に変更できる
- コンピュータ間でテンプレートをコピーできる
ORACLE社によって用意されているテンプレート
DBCAによるデータベース の作成手順の中で選択する。Oracleによって次のような種類のテンプレートが用意されている。
汎用またはトランザクション処理
汎用またはトランザクション処理とは座席予約や受発注処理など、多数のトランザクションを同時に且つ迅速に実行する事が要求されるOLTP向けのデータベースを構成する場合に選択するシードテンプレート。 多数の処理が発生した際にデータの一貫性が保証できなくなってしまう可能性があります。
トランザクション処理を行なう事で多数の処理が重なった場合でも一貫性を保つ事ができます。
はてな
- OLTPデータベース・・・OLTPとはOnline Transaction Processingの略です。PLTPは大量読み書きに対して同時に実行できるトランザクション処理を行うデータベースです。
データ・ウェアハウス
データ・ウェアハウスとはデータの倉庫の事である。売上分析や市場分析などの複雑な問い合わせを大量に実行し、大量のデータを処理する事が要求される場合に使用されるカスタムデータベースである。
カスタム・データベース
カスタム・データベースは処理内容に合わせて各項目を個別に設定できる。データベースを一から作成する為時間がかかるが自分の使いやすいようにデータベースをカスタマイズする事ができる。カスタム・データベースは非シードテンプレートである。
テンプレートを作成する三つの方法
Oracle Database 12cでは、ユーザーがオリジナルテンプレートを作成する事ができる。ユーザーがテンプレートを作成する場合は以下の三つの方法がある。
既存のテンプレートを使用する
既存のテンプレートを設定を変更して、新しいテンプレートを作成する方法
既存のテンプレート(構造的のみ)を使用
既存のデータベースの構造情報(データベース、オプション、表領域、データファイル、初期化パラメータなど)を持つ新しいテンプレートを作成する方法。
既存のデータベース (データ及び構造)を使用
既存のデータベースの構造情報と物理データファイルの両方を含む新しいテンプレートを作成する方法。このテンプレートを使用して作成したデータベース は、元になるデータベース うと同一になり、ユーザー定義スキーマとそのデータも、テンプレートに含まれる。